治療家が陥りやすい経営偏重の罠とは

なぜ数字ばかりを追いかけてしまうのか
整骨院を経営していると、どうしても「数字」に意識が偏りがちです。売上・来院数・リピート率・単価──これらを管理することは経営者として当然ですが、気づけば数字を追うこと自体が目的になっていないでしょうか?
本来、数字は手技の成果として後からついてくるもの。それが、数字のためにキャンペーンを打ち、回数券を押し売りし、患者対応が効率化されてしまう──この流れこそが、多くの治療家が陥る「経営偏重」の罠です。
「忙しいのに、なぜか充実感がない」の正体

予約表はいっぱい、売上も一見順調。それでも、心のどこかに虚しさを感じている。
その原因は、「上手くなっている実感」がないことにあります。患者が良くなったのか、自分の手技が本当に効いているのかこの感覚が曖昧になっていくことで、施術家としての誇りが薄れてしまうのです。
手技をないがしろにすると、信頼が崩れていく

患者は結果だけでなく手応えを見ている
患者は無意識のうちに「この先生、技術があるな」「この人なら任せられる」という手応えを感じ取っています。たとえ一時的に症状が良くなっても、
- ルーティンのような施術
- 機械的な説明
- 流れ作業のような応対
が続けば、信頼は徐々に失われていきます。
手技の本質は、目に見えない触れ方や観察の深さに宿るのです。
スタッフとの関係性にも影響を及ぼす技術の質
技術への向き合い方は、スタッフにも伝わります。院長が本気で学び続けているか、成長を目指しているか──その姿勢がチームの空気をつくります。
逆に、経営や売上ばかりを気にするようになると、
- スタッフがモチベーションを失う
- 技術に興味のある人材が離れていく
- 「ただの仕事場」になってしまう
という結果につながりかねません。
手技に向き合う時間が、院全体の空気を変える

施術者の姿勢が、院の文化をつくる
患者もスタッフも、院の空気を敏感に感じ取ります。
院長が「もっと上手くなりたい」「一人ひとりと向き合いたい」と真剣に臨床に取り組んでいると、その姿勢が自然と周囲にも伝播します。
やがて、
- 治療に集中できる雰囲気ができる
- スタッフ同士が技術を共有する
- 患者が「ここは安心できる」と感じる
といった好循環が生まれるのです。
「手技を大切にする人」に人は集まる
人は、何に時間を使っているかで、その人の価値観を判断します。
手技の練習、復習、フィードバックを大切にしている先生には、技術志向の仲間や、信頼を求める患者が集まります。
それはSNSでは伝えきれない、現場の空気からにじみ出る信頼感なのです。
数字と技術、両立のために必要な考え方

「売上は技術の証明」という視点を持つ
数字を否定するのではなく、「数字=信頼の結果」として捉えることが大切です。
技術に向き合い、患者に誠実に施術する。その積み重ねが口コミを生み、紹介を生み、結果的に売上をつくっていきます。
つまり、売上はあなたの技術と信頼の評価指標なのです。
経営と手技を対立軸ではなく同軸にする方法
多くの治療家は、「経営」と「手技」を天秤にかけてしまいます。
しかし本来、この二つは同じベクトルで考えるべきです。
- 技術が高まれば、信頼が生まれる
- 信頼が生まれれば、紹介やリピートが増える
- 数字がついてきたら、さらに技術に投資できる
この循環こそが、持続可能な整骨院経営の本質なのです。
平井塾が提案する手技から始める整骨院経営

FJAが育てる「観察力」と「対話力」が院を変える
平井塾で指導しているFJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)は、ただの矯正手技ではありません。
- 構造を観察する力
- 身体と対話する感覚
- 細部のエラーに気づく繊細さ
これらを鍛えることで、施術の質が根本から変わります。結果として患者の信頼を得られ、院全体の評価が上がっていくのです。
技術と信頼が先、数字はその副産物
経営戦略を練る前に、まずは「技術と信頼」に立ち返る。
平井塾は、手技の成長こそが治療家の原動力であり、経営の柱だと考えています。
売上を求めるなら、まず技術の精度を高めること。それが、結果として経営を安定させ、治療家としての誇りも守る唯一の道です。
まとめ:「技術を磨くこと」は、経営戦略である

今こそ治療家としての軸を取り戻そう
忙しさに流される中で、技術の優先順位が下がっていないか──。
経営に追われた日々を抜け出し、再び「手技を磨くこと」に意味を見出したとき、治療家としての軸が戻ってきます。
「手技経営」の価値を再定義する
売上と手技、どちらも大切。どちらも妥協しない整骨院経営は可能です。
そのためには、技術=経営の土台という価値観を共有し、院全体で育んでいくこと。
平井塾では、そんな技術から始まる経営を、志ある治療家たちと共に実現しています。
➡ この記事は全3回シリーズの第2回です。
▶ 第1回:「整体技術は“偶然”から“再現”へ──矯正の成功体験が生まれる臨床の積み重ね」
▶ 第3回:「手技の進化が、信頼と幸福を生む──構造思考で磨く施術家の在り方」
投稿者情報【平井 大樹】

株式会社美絆 代表取締役。みゅう整骨院 代表。整体教育機関ゴッドハンドへの道「平井塾」代表。柔道整復師・スポーツトレーナー。
「治療家を職業から誇りへ」を信念に、紹介だけで予約が埋まる「本物の治療家」を育てる平井塾を主宰。施術歴20年、延べ10万人以上を施術し、リピート率98.5%、新規予約は5年待ちという圧倒的な実績を持つ。
【平井塾が生まれた理由】
高校卒業後、スポーツトレーナーの世界で「本当に人の役に立ちたい」という強い想いを胸に治療家の道へ。雇われ院長時代には、1日来院数255名という日本一の実績を達成。しかし、数字を追い求める中で、本当にやりたかったこととのギャップに悩み、独立後は広告を一切使わない「紹介のみ」の治療院を確立しました。
その経験から、「技術だけでなく、患者さんの心に寄り添う在り方こそが、真のゴッドハンドへの道である」と確信。2020年から始めたセミナー事業も、広告を一切使わず、口コミだけで年間91回開催、延べ770名もの治療家が集まる場所となりました。
【平井大樹の圧倒的な実績】
私が提唱する「在り方で信頼され、結果で指名される」という哲学は、以下の圧倒的な実績によって証明できる確信しています。
- 長期継続患者数:私が施術している毎月211人の患者様のうち、5年以上継続が211名,そのうち10年以上が93名。これは、一般的な治療院が測る「初回リピート率」をはるかに超える、揺るぎない信頼の証です。当社独自の2年継続率では49.7%という圧倒的な実績を数字で証明しています。
- 独自のメソッド:FJA(ファシアティックジョイントアプローチ)や姿勢循環整体など、単なる技術ではなく、痛みの根本原因を「動きの連鎖」から見抜く独自の臨床思考モデルを確立しています。
- 全国規模の実績:東京、大阪、横浜、宮崎など全国9社の整骨院グループで社員研修を担当。組織の課題に客観的に向き合い、治療家として誇りを持って働ける社員を育成しています。
- 安定した組織運営:私が経営する院のスタッフ定着率は平均7年以上。これは、理念と実践が一致したマネジメントの証明です。
「在り方で信頼され、結果で指名される」
平井塾は、技術と人間性の両輪を磨き、治療家として誇りを持って生きる仲間を増やすことを目標としています。このブログが、あなたの治療家人生を変える一歩となれば幸いです。