骨盤の歪みはなぜ起こる?デスクワークで崩れた姿勢を整える方法

デスクワークで骨盤が歪んでいることが気になっている男性の姿

毎日パソコンの前で何時間も座り続けていると、
「最近、姿勢が悪くなった気がする」「腰やお尻が重い」「ズボンのラインが左右でずれる」
そんな変化を感じていませんか?

それは、知らず知らずのうちに起こっている「骨盤の歪み」かもしれません。

骨盤は、上半身と下半身をつなぐ身体の土台です。
この骨盤がわずかに傾いたりねじれたりするだけで、背骨や筋肉、神経のバランスが崩れ、
肩こり・腰痛・坐骨神経痛・ぽっこりお腹など、全身にさまざまな不調が現れます。

特にデスクワーク中心の生活では、

  • 長時間の座り姿勢
  • 運動不足による筋力低下
  • パソコン操作による前傾姿勢
    といった要因が重なり、骨盤が後ろに倒れたまま固まってしまうケースが非常に多く見られます。

しかし、骨盤の歪みは「悪い姿勢だから」起こるわけではありません。
平井塾では、骨盤の歪みを「身体構造のバランスが崩れた結果」と捉えています。
つまり、骨盤そのものを矯正するのではなく、骨盤が自然に正しい位置に戻れる状態をつくることが本質的な解決法なのです。

この記事では、

  • 骨盤の歪みが起こる原因
  • デスクワークが骨盤に与える影響
  • 自宅でできるセルフチェック法
  • 座り方・ストレッチ・日常ケアの実践ポイント
  • そして、平井塾が提唱する「FJA」「姿勢循環整体」による構造的アプローチ

を順を追ってわかりやすく解説していきます。

「骨盤を整えたいけれど、何から始めたらいいかわからない」「整体に行っても戻ってしまう」
そんな方にこそ読んでいただきたい、構造から整えるためのガイドです。

読むうちに、きっとあなたの身体に眠る自然に整う力を感じていただけるでしょう。

目次

骨盤の歪みとは?

私たちの身体の中心にある骨盤。
それは単なる骨のかたまりではなく、全身のバランスを支える「構造の基盤」です。
しかし、この骨盤がほんの数ミリ、数度でも傾いたりねじれたりすると、
身体全体の姿勢や動き、さらには内臓の働きや神経伝達にまで影響が及びます。

骨盤の歪みとは、決して「骨がズレる」わけではありません。
筋肉・関節・靭帯・筋膜などがアンバランスに引っ張り合うことで、骨盤が本来の安定位置を保てなくなっている状態を指します。

骨盤の基本構造と役割

骨盤は、仙骨・腸骨・坐骨・恥骨といった複数の骨が組み合わさってできています。
左右の腸骨を後ろでつなぐのが仙骨、前で支えるのが恥骨。
その中央には仙腸関節(せんちょうかんせつ)という小さな関節があり、ここが骨盤の動きの中心です。

骨盤の主な役割は3つあります。

  1. 上半身と下半身の力を伝える「支点」
     → 歩く・立つ・座るなど、すべての動作の起点。
  2. 内臓を支える「受け皿」
     → 骨盤の形が崩れると内臓の位置が下がり、ぽっこりお腹や便秘の原因に。
  3. 姿勢を安定させる「土台」
     → 背骨を正しく立たせるための基礎。ここが傾くと、全身の軸が乱れます。

つまり、骨盤とは身体の土台であり要
家でいえば「基礎のコンクリート部分」にあたる存在です。
この基礎が少しでも歪むと、壁(背骨)や屋根(頭部)もバランスを崩してしまうのです。

歪みとは何が起きている状態なのか

「骨盤の歪み」とは、実際には骨盤を取り巻く組織(筋肉・筋膜・靭帯)の緊張バランスの乱れによって生じます。

たとえば

  • 長時間のデスクワークで骨盤が後ろに倒れる(後傾)
  • 片足重心で立つ癖がある(左右差)
  • 猫背や反り腰によって腰椎のカーブが崩れる

こうした生活習慣が続くと、骨盤の左右や前後の動きに制限がかかり、
関節の可動性が減少して「固まった状態」になります。

さらに、骨盤の動きを包む筋膜(ファシア)がねじれて滑走が悪くなると、
骨盤だけでなく、背骨・股関節・膝など全身の関節連動にも悪影響を及ぼします。

平井塾の視点では、この状態を「構造的エラー(構造のバランスの乱れ)」と呼びます。
単に歪んでいるというよりも、身体の構造全体が最適な連動を失っていると捉えるのです。

骨盤が身体全体に与える影響

骨盤は身体の中心であり、全身の動きのハブです。
そのため、骨盤が歪むと、次のように多方面に影響が広がります。

影響する部位起こりやすい不調主な原因構造
腰・お尻腰痛・坐骨神経痛骨盤後傾・仙骨の可動制限
肩・首肩こり・頭痛背骨のS字カーブの崩れ
下半身冷え・むくみ・脚の疲れ骨盤のねじれによる循環不良
お腹ぽっこり腹・便秘内臓下垂・腹圧低下
全身疲れやすい・集中力低下姿勢不良による呼吸浅化

このように、骨盤の歪みは見た目の姿勢だけでなく、
神経・血流・リンパ・内臓機能にまで影響を及ぼす根本要因なのです。

平井塾の施術理論では、骨盤の歪みを「直す」のではなく、
FJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)で骨盤の動きを妨げている細部の原因を見つけ出し、
さらに姿勢循環整体で全身の流れとバランスを整えることで、骨盤が自然に正しい位置へ戻る状態をつくります。

つまり、

「骨盤を戻す」ではなく、「骨盤が戻れる身体に整える」

これこそが、平井塾が伝える構造から整える骨盤アプローチの真髄です。

骨盤の歪みの原因

骨盤の歪みは、特別な事故やケガがなくても、日常の姿勢や習慣の積み重ねで少しずつ生まれます。
とくにデスクワーク中心の現代人は、長時間の座位や運動不足によって「動かないこと」が慢性化しています。
それが、骨盤を支える筋肉や関節に静かなストレスを与え、知らぬ間に歪みを固定化してしまうのです。

ここでは、骨盤が歪む代表的な4つの要因を詳しく見ていきましょう。

①デスクワークでの姿勢の崩れ

最も多い原因が、座り姿勢の悪化です。
長時間のデスクワークでは、次のような姿勢をとりがちです。

  • 背中を丸めてパソコン画面を覗き込む
  • 椅子に浅く腰かけて背もたれに寄りかかる
  • 足を組む、片方の肘をつくなど左右の癖

このような姿勢を繰り返すと、骨盤が徐々に後傾(後ろに倒れる)し、仙骨が押し込まれるような形になります。
その結果、骨盤の動きが制限され、背骨のカーブ(S字ライン)が崩れ、腰椎に負担が集中して腰痛や坐骨神経痛
を引き起こすことになります。

さらに、後傾した骨盤を支えようと太もも裏(ハムストリングス)やお尻の筋肉が常に緊張し、お尻の奥を通る坐骨神経を圧迫して「しびれ」や「重だるさ」が出るケースも少なくありません。

つまり、デスクワークの静止姿勢こそが、骨盤をゆがませる最大の構造的ストレスなのです。

②筋力の低下と骨盤への影響

骨盤の歪みは、単に「悪い姿勢」だけではなく、支える筋肉の弱さからも起こります。
特に重要なのは、以下の3つの筋群です。

筋肉役割弱くなると起きる問題
腸腰筋(ちょうようきん)骨盤と背骨をつなぎ、姿勢を支える骨盤が後傾して猫背になる
中臀筋(ちゅうでんきん)骨盤の横を支える片側重心になり骨盤が左右に傾く
骨盤底筋(こつばんていきん)内臓を支え、骨盤の底を形成下腹部のたるみ・内臓下垂

デスクワークではこれらの筋肉がほとんど使われません。
筋力が弱くなると、骨盤は支えを失い、小さな癖(足を組む・片側に体重をかける)でも簡単に傾くようになります。

平井塾では、この状態を「構造の支柱が弱くなった骨盤」と表現します。
つまり、筋力の低下は「動かないことで崩れた構造の二次被害」でもあるのです。

③その他の生活習慣からの影響

骨盤の歪みは、デスクワーク以外の生活の中にも潜んでいます。

  • 片側でカバンを持つ/脚を組む癖
     → 骨盤の左右バランスを崩し、慢性的なねじれを生む。
  • ヒールの高い靴をよく履く
     → 骨盤が前傾し、腰が反る。重心の偏りで腰痛を助長。
  • 柔らかすぎるソファで長時間座る
     → 骨盤が沈み込み、仙骨が後ろに倒れて固定される。
  • 睡眠時の姿勢のクセ(横向き・うつ伏せ)
     → 一方向へのねじれが慢性化し、朝起きた時の違和感につながる。

また、精神的ストレスや睡眠不足も見逃せません。
ストレスによって自律神経が乱れると、呼吸が浅くなり、骨盤周囲の筋肉(特に腸腰筋・横隔膜)が緊張します。
これにより、骨盤が閉じて固まるような状態になるのです。

④悪い座り方が筋膜や関節に与える影響

「長時間座っていると腰が重くなる」「立ち上がる時に痛い」
このような症状は、骨盤の位置だけでなく、筋膜(ファシア)と関節の滑走制限によるものです。

ファシアは、筋肉・臓器・神経を包み、全身をネットワークのように結ぶ膜構造です。
悪い姿勢が続くと、このファシアが癒着し、関節の自然な動きを妨げてしまいます。

平井塾のFJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)では、
この「微細な動きの制限」を手で聴き取ることで、
どの層にエラー(動きの滞り)があるのかを明確にし、骨盤が自ら整う条件を整えます。

つまり、歪みを力で戻すのではなく、構造が自ら整う流れを取り戻すというのが、FJAの核心なのです。

デスクワーク特有の静的ストレスとは

立ち仕事では身体を動かすため、一定の筋肉が働き続けます。
しかし、デスクワークでは「動かない」という静的ストレスが慢性的にかかります。

これは、筋肉や関節、血管が同じ位置で止まり続けることで起こる内部ストレスであり、
外見上は何もしていなくても、身体の中ではじわじわと疲労や炎症が蓄積していきます。

特に骨盤まわりは、長時間圧迫されることで血流が滞り、
冷え・むくみ・坐骨神経の圧迫といった不調が重なりやすくなります。

この「動かないストレス」を解消するためには、
1時間に1回立ち上がる・背骨を伸ばす・骨盤を軽く回すなど、
わずかな動きで循環を戻す習慣を取り入れることが重要です。

平井塾では、こうした日常のクセや環境を「構造ストレス」と呼び、それを見抜いて整える力を臨床思考として育てています。
FJAで細部の動きを解放し、姿勢循環整体で全身の流れを回復させる。この二つを組み合わせることで、骨盤の歪みは自然に整っていくのです。

代表的な骨盤の歪みとその症状

「骨盤の歪み」と一口に言っても、そのタイプや方向は人によって異なります。
姿勢・筋力・日常動作のクセなどによって、どの方向に歪むかが変わり、症状もまったく違った形で現れます。

ここでは、特にデスクワークの方に多い3つの代表的なタイプ、骨盤後傾・骨盤前傾・猫背との関連を中心に、それぞれの特徴と不調を詳しく解説します。

骨盤後傾による腰痛

最も多いタイプが、骨盤が後ろに倒れる「後傾(こうけい)」です。
長時間のデスクワークで浅く座る、背もたれに寄りかかる、猫背になる。こうした姿勢が続くことで骨盤が後ろに引き込まれて固定されてしまいます。

骨盤が後傾すると、次のような変化が起こります。

  • 腰のカーブ(前弯)がなくなり、背骨全体が丸まる
  • お尻の筋肉(中臀筋・梨状筋)が引き伸ばされ、常に緊張
  • 坐骨神経が下から圧迫される

その結果、腰痛・お尻の痛み・足のしびれなどの症状が出やすくなります。
特に「長く座るとお尻が痛い」「立ち上がる時に腰が重い」という人は、このタイプの可能性が高いでしょう。

平井塾の臨床では、骨盤後傾型の方は腹筋や太もも裏が硬く、股関節の動きが制限されているケースが多く見られます。
FJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)では、このような微細な関節の硬さや筋膜の癒着を手で聴き取り、姿勢循環整体によって腰椎〜仙骨の動きを再教育することで、自然に骨盤が立つ状態へ導きます。

骨盤前傾とぽっこりお腹

一方で、骨盤が前に傾く「前傾(ぜんけい)」タイプも少なくありません。
立ち仕事が多い人や、ヒールをよく履く女性、反り腰の姿勢を取る人に多い傾向があります。

骨盤前傾が続くと、次のような問題が生じます。

  • 腰が過度に反り、腰椎に圧迫ストレスがかかる
  • 腸腰筋が短縮し、太もも前が張る
  • 下腹部が前に突き出て、ぽっこりお腹になる

見た目の姿勢としては、胸を張っているように見えても、実は背骨が硬直し呼吸が浅くなっています。
この状態では、背骨や骨盤の動きが連動せず、循環が滞りやすくなるのです。

また、内臓が下がりやすく、冷えや便秘・月経痛など、女性特有の不調とも深く関係しています。

平井塾では、こうした「反り腰+骨盤前傾」のケースに対し、腹部・腰部の筋膜リリースと、姿勢循環整体による胸郭の動き改善を組み合わせ、「骨盤を立てるのではなく、全身の流れを戻す」というアプローチを行います。

猫背との関連

骨盤の歪みと猫背は、密接に結びついています。
骨盤が後ろに倒れると、背骨のS字カーブが失われ、頭が前に出る「ストレートネック」姿勢になります。

この姿勢では、次のような悪循環が起こります。

  1. 骨盤が後傾する
  2. 背中が丸くなり、肩が前へ
  3. 頭が前に出て首の筋肉が緊張
  4. 呼吸が浅くなり、胸郭・横隔膜が固まる
  5. 血流とリンパの流れが低下し、疲労や冷えが慢性化

つまり、猫背は「骨盤の後傾」から始まる全身の連鎖反応なのです。

一見すると背中だけの問題のように見えても、根本には骨盤の角度が関与しています。
そのため、猫背矯正を行う際にも、まず骨盤を整えることが大前提になります。

姿勢循環整体では、胸郭(肋骨の動き)と骨盤(仙骨の動き)を連動させ、呼吸とともに全身の姿勢リズムを整えることで、無理なく猫背が解消される身体を育てます。

平井塾の哲学では、「骨盤の歪み」は単なるズレではなく、全身の連動が乱れた結果と考えます。
FJAで構造のエラーを読み取り、姿勢循環整体で流れを整えることで、「骨盤を矯正する」ではなく「骨盤が自然に正しい位置へ戻る」身体を取り戻せるのです。

骨盤の歪みをチェックする方法

「自分の骨盤が歪んでいるかどうか、実際にはどう見分ければいいの?」患者さんから、平井塾の講座や現場でもよくいただく質問です。

骨盤の歪みは、レントゲンのように目で見えるものではなく、姿勢・動き・感覚の中にそのサインが現れます。
特別な器具がなくても、自宅で簡単にチェックする方法があります。

ここでは、セルフチェック法と、専門家がどのように骨盤の状態を評価しているのかをご紹介します。

自宅でできるセルフチェック法

鏡や全身が映る場所で、以下のポイントを確認してみましょう。

① 肩と腰骨の高さを比べる

・鏡の前でまっすぐ立ち、両手を腰骨(骨盤の出っ張り)に当てます。
・左右の高さを見比べて、どちらかが上がっていたり、ズレていませんか?

→ 片側が高ければ、骨盤が左右に傾いている可能性があります。

② 立った時の足の重心を感じる

・目を閉じてその場で立ち、足の裏に体重がどのように乗っているかを意識します。
・左右どちらかに体重が偏っていたり、かかと側・つま先側に寄っていませんか?

→ これは、骨盤が前後または左右に歪んでいるサインです。

③ 仰向けになって両膝を立て、倒してみる

・ベッドや床に仰向けで寝て、両膝を立てます。
・左右交互に膝を倒して、倒しやすい方と重たい方を確認します。

→ 倒しづらい方は、骨盤周囲の筋膜が硬くなっている側です。

④ ズボンやスカートの「ねじれ」もサイン

毎回同じ方の裾が上がる・ウエストがずれる、これも骨盤の傾きによって服がねじれている証拠です。

このように、身体のちょっとした違和感の中に、骨盤の歪みのサインは隠れています。

身体が発しているサインを見逃さない

骨盤の歪みは、痛みとして出る前に違和感として現れることが多いです。
次のような症状がある場合は、骨盤バランスが崩れている可能性が高いでしょう。

サイン考えられる状態
立っていると片足に重心をかけたくなる骨盤の左右差・中臀筋の弱化
座っていると足を組みたくなる骨盤の後傾・腰椎の安定性低下
歩くとスカートやズボンが回る骨盤のねじれ・股関節の非対称性
朝起きると腰が重い骨盤が夜間にロックされている
生理痛や便秘がある骨盤内の循環不良・骨盤底筋の緊張

これらはすべて、「骨盤が本来の可動性を失っているサイン」です。
早い段階で整えることで、腰痛や坐骨神経痛などの二次的な不調を防ぐことができます。

整骨院やクリニックでの診断

自宅でのチェックだけでは限界もあります。
とくに痛みやしびれ、左右差が強い場合は、整骨院や医療機関での評価が大切です。

整骨院や整体院では、以下のような方法で骨盤の状態を確認します。

検査方法内容
視診・姿勢分析立位・座位での骨盤角度や体軸のズレを確認
触診仙腸関節・腸骨稜・恥骨の位置や可動性を手で確認
可動テスト脚の上げ下げ・前屈・後屈で動きの制限部位を特定
神経・筋反応検査坐骨神経・大腿神経の滑走をチェック
必要に応じて医療機関紹介骨や椎間板に異常が疑われる場合は整形外科へ連携

平井塾で学ぶ施術者は、これらの検査を「構造思考」でとらえます。
つまり、「どこが歪んでいるか」ではなく、「なぜそこに負担が集中したのか」をファシア(筋膜)と関節の動きから読み解きます。

FJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)によって微細な動きの制限を見つけ出し、姿勢循環整体によって全身の流れを整える。この二段構えで、再び歪まない骨盤の条件を整えるのです。

骨盤を整えるために大切な3つの視点

多くの方は、「骨盤の歪み=骨がズレている」と考えがちですが、
実際には、骨盤そのものよりも骨盤を支える構造全体が乱れているケースがほとんどです。

つまり、骨盤を整えるとは、骨だけを動かすことではなく、「支える」「包む」「流す」という3つの機能を同時に回復させること。

平井塾では、これを構造・ファシア・循環という3つの視点から整理し、根本的なバランス回復を目指します。

① 骨格(構造)を整える

骨盤の安定は、正しい「構造の配列」から始まります。
人間の身体は、骨・関節・靭帯・筋肉が精密に連動し合う「構造物」です。
そのため、どこか1つがズレると、他の関節も補うように姿勢を変えてしまいます。

特に骨盤は、

  • 仙骨(背骨との接合)
  • 股関節(脚との連動)
  • 腰椎(上半身の支え)
    といった3方向の力の交差点にあるため、構造のズレが全身に波及します。

構造を整える第一歩は、「骨盤が自由に動ける状態を取り戻す」こと。

FJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)では、関節の微細な遊び(ジョイントプレイ)を手で感じ取り、硬くなっている層を探し出して解放します。
これにより、骨盤は力を加えなくても自然に本来の軸へ戻るのです。

② 筋膜(ファシア)の動きを取り戻す

骨盤の歪みを支えているのは、筋肉よりもむしろ筋膜(ファシア)です。
筋膜は、筋肉・神経・血管・臓器を一枚のシートのように包み込み、全身をつなげています。

悪い姿勢や長時間の座位が続くと、この筋膜がねじれ・癒着し、滑走が悪くなります。
すると、関節や筋肉が動きづらくなり、結果的に骨盤の動きまで制限されてしまうのです。

たとえば

  • 太もも裏(ハムストリングス)のファシアが固まる → 骨盤が後ろに引っ張られる
  • 腸腰筋のファシアが縮む → 骨盤が前傾し、反り腰になる
  • 体側(脇腹)のファシアがねじれる → 骨盤が左右非対称になる

平井塾のFJAは、このファシアの動きを聴く手技
力で伸ばすのではなく、微細な動きの「通り道」を探し出し、身体が自ら動き出すような構造的な再教育を行います。

これにより、筋肉がやわらかくなるだけでなく、身体全体の感覚(ボディアウェアネス)が回復し、「姿勢が楽になる」という実感につながります。

③ 体液(循環)を改善する

構造とファシアが整っても、身体の中を流れる血液・リンパ・脳脊髄液などの循環が滞っていれば、根本的な回復は難しくなります。

骨盤は、静脈やリンパ管が密集する循環のハブでもあります。
骨盤が歪むと、これらの流れが滞り、老廃物が排出されにくくなります。
その結果、むくみ・冷え・慢性疲労・月経痛など、さまざまな症状が現れます。

姿勢循環整体は、まさにこの循環に焦点を当てた手技。
FJAで細部の動きを解放した後、全身の体液の流れを促すことで、身体の隅々まで酸素・栄養が届き、自然治癒力が活性化します。

「姿勢を整える=循環を整える」これが、平井塾の施術思想の根幹です。

まとめ:3つの視点で整える=「歪まない身体をつくる」

視点目的代表手技
構造骨格・関節の連動を回復FJA
ファシア筋膜の滑走を取り戻すFJA
循環体液の流れを整え、治癒力を高める姿勢循環整体

この3つの視点が連動すると、骨盤だけでなく、身体全体のバランスが整います。
単に「矯正する」ではなく、自ら整う身体をつくることこそが、本当の骨盤ケアなのです。

骨盤矯正のための具体的な方法

「骨盤の歪みを整えるには、実際に何をすればいいの?」
ここからは、デスクワーカーでも今日から実践できる具体的な骨盤ケアの方法を紹介します。

ここでのポイントは、
単に「矯正する」ではなく、骨盤が自然に正しい位置に戻れる環境をつくること
そのために必要なのが、

  • 正しい座り方
  • ストレッチ(筋膜のリリース)
  • 筋力アップ(支える力の回復)
    この3つのステップです。

デスクワーク中の正しい座り方

骨盤を整える基本は、骨盤を立てて座ることにあります。
「背筋を伸ばす」と力んでしまう人も多いですが、正しい姿勢とは無理なく支えられる姿勢のこと。

以下のステップを意識してみましょう。

① 椅子に深く腰かける

浅く座ると骨盤が後ろに倒れてしまうため、坐骨(お尻の下の骨)が椅子に当たる位置までしっかり腰をかけます。

② 骨盤を少し前に傾ける

腰の後ろに手を当て、腰椎に自然なカーブ(前弯)がある状態が理想です。
背もたれに寄りかからず、骨盤で上半身を支える感覚を持ちましょう。

③ 足裏を床にぴったりつける

膝が90度になる高さが目安。
足がブラブラすると骨盤が不安定になり、後傾しやすくなります。

④ モニターの位置を見直す

目線が下がると、頭の重さで骨盤が引っ張られます。
画面の上端が目の高さにくるように調整しましょう。

ワンポイントアドバイス
背もたれに丸めたタオルを入れて「骨盤サポートクッション」として使うと、無理なく姿勢を維持できます。

お尻や背中をケアするストレッチ

長時間同じ姿勢で座っていると、骨盤まわりの筋肉や筋膜が固まりやすくなります。
ここでは、仕事の合間でもできる骨盤リリースストレッチを紹介します。

① 梨状筋ストレッチ(お尻の奥をゆるめる)

  1. 椅子に座り、右足首を左膝の上に乗せます。
  2. 背筋を伸ばしたまま、ゆっくり体を前に倒します。
  3. お尻の奥がじんわり伸びたら20秒キープ。反対も同様に。

→ 坐骨神経痛の予防にも効果的です。

② 骨盤ロール(動きを取り戻す)

  1. 椅子に浅く座り、両手を骨盤の上に置きます。
  2. 骨盤を「前→後→前→後」とゆっくり動かします。
  3. 呼吸を合わせて10回程度。

→ 動きが小さくてもOK。骨盤の可動性を再教育するのが目的です。

③ 背骨ねじりストレッチ(姿勢循環を促す)

  1. 椅子に座ったまま、両手を胸の前でクロス。
  2. 息を吸いながら背筋を伸ばし、吐きながらゆっくり右へねじる。
  3. 3呼吸キープしたら、反対側も同様に。

→ 背骨の動きと骨盤の回旋を連動させることで、全身の循環が向上します。

運動による筋力アップ法

骨盤の位置を保つためには、「支える筋肉」が必要です。
特に大切なのが、以下の3つの筋肉群です。

筋肉主な働き鍛え方の例
腸腰筋背骨と骨盤をつなぎ姿勢を保つ仰向けで片脚上げ(レッグレイズ)
中臀筋骨盤を横から支える横向きで足を持ち上げる(サイドレッグリフト)
骨盤底筋内臓を支える・姿勢安定お尻の穴を軽く引き締める「骨盤底筋トレ」

骨盤底筋トレーニング(デスクでもOK)

  1. 椅子に座って背筋を伸ばす。
  2. 息を吐きながらお尻の穴を軽く締める。
  3. 5秒キープ → ゆるめる。これを5回。

→ 継続することで、骨盤の内側から安定性が高まります。

「坐骨で座る」意識で骨盤を安定させる

最後に大切なのが、「どこで座るか」という感覚です。
多くの人はお尻全体で座っていますが、正しくは坐骨(ざこつ)で座ること。

坐骨で座ると、骨盤が自然に立ち、背骨のS字カーブが保たれます。
姿勢が安定し、肩や首の力も抜けやすくなるのです。

平井塾では、この坐骨感覚を非常に重視しています。
FJAで骨盤周囲の動きを整え、姿勢循環整体で体幹の流れを回復させることで、
施術後に「意識しなくても坐骨で座れるようになった」という声を多くいただいています。

「姿勢を正す」ではなく、
「身体が自然にまっすぐになる」──
それが、平井塾が考える骨盤が整う座り方です。

骨盤のケアを日常に取り入れる

「整体に行ってもすぐ戻ってしまう」「続けられない」そんな声をよく耳にします。

骨盤を整えるうえで本当に大切なのは、一度矯正することよりも、整った状態を維持できる日常をつくること。
そのためには、特別な時間を設けるよりも、毎日の生活動作の中にケアを自然に組み込むことがポイントです。

ここでは、骨盤ケアを無理なく習慣化し、効果を長く保つための方法を紹介します。

習慣化するためのSTEP

骨盤ケアを続けるためには、モチベーションよりも「仕組み」が大切です。
以下の3ステップで、無理なく続けられる習慣をつくりましょう。

STEP 1:やる時間を決めておく

朝起きた直後・昼の休憩・就寝前など、一日の中でタイミングを固定しましょう。
人間の脳は“同じ時間・同じ流れ”で行う行動を記憶しやすく、習慣化がスムーズになります。

STEP 2:1日3分でもOK

続かない原因は「完璧を目指すこと」。
骨盤ケアは、3分のストレッチ×1日2回でも十分に効果があります。
ポイントは「少なくても毎日続ける」こと。

STEP 3:変化を感じる

立ち上がりの軽さ、座りやすさ、呼吸のしやすさ、身体の変化を意識することで、脳が整った状態を学習します。
これは、平井塾が重視する身体感覚(ボディアウェアネス)のトレーニングにもつながります。

「習慣化」とは努力ではなく、整う感覚を体が覚えるプロセスなのです。

ヨガや筋トレでの効果

骨盤の安定には、支える筋肉動かす柔軟性の両方が欠かせません。
その点で、ヨガと筋トレはとても相性が良い組み合わせです。

ヨガの効果

ヨガは、呼吸と姿勢を同時に整えるため、骨盤まわりの柔軟性と自律神経のバランスを整えるのに最適です。

特におすすめのポーズ

  • キャット&カウ(猫のポーズ) … 背骨と骨盤の連動を取り戻す
  • チャイルドポーズ … 骨盤底筋を緩め、リラックス効果を高める
  • 橋のポーズ … 骨盤の安定とお尻の筋力アップ

ヨガを行うことで、骨盤だけでなく「呼吸」「自律神経」「循環」にも良い影響が及びます。

筋トレの効果

筋トレは、骨盤を安定させる支柱を育てます。
特に意識したいのは、体幹・臀部・太ももの3部位。

  • スクワット:大臀筋・太ももを鍛え、骨盤の支えを強化
  • プランク:体幹と骨盤底筋を同時に活性化
  • ヒップリフト:お尻の筋肉を使って骨盤の位置を整える

これらを週に2〜3回、10分程度行うだけでも、骨盤が安定しやすい構造がつくられます。

FJAと姿勢循環整体で整えた動きやすい身体を、ヨガと筋トレで維持できる身体に育てる──
これが平井塾の提唱する「構造思考+行動習慣」の融合です。

呼吸・睡眠・リズムを整えることで持続力UP

身体を整えるうえで見落とされがちなのが、呼吸・睡眠・生活リズムです。
これらはすべて、自律神経と深く関係しており、骨盤の安定にも直結します。

① 呼吸を整える

浅い呼吸は、横隔膜の動きを制限し、骨盤底筋と腸腰筋を緊張させます。
骨盤は呼吸で動くと言われるほど、呼吸と骨盤は連動しています。

おすすめ呼吸法:腹式+胸式のミックス呼吸

  1. 鼻から息を吸ってお腹をふくらませる
  2. 口からゆっくり吐きながら胸をしぼる
    → 背骨〜骨盤が自然に波打つ感覚を味わうことが大切です。

② 睡眠の質を整える

寝ている間は、身体が回復モードに入る時間です。
寝姿勢が悪いと、骨盤が固定されてしまうことも。

  • 横向きの場合:膝の間にクッションを挟む
  • 仰向けの場合:膝下に小さなタオルを敷く

→ これだけで骨盤が安定し、翌朝の腰の重さが軽減します。

③ 生活リズムを整える

不規則な生活やストレスは、ホルモンや自律神経の乱れにつながり、骨盤の緊張を強めます。
特に女性はホルモン周期によって骨盤が動きやすいため、生活リズムの安定が骨盤の安定につながります。

  • 就寝・起床時間を一定に
  • 食事の時間を大きくずらさない
  • 朝の深呼吸と軽いストレッチで1日をスタート

これらを続けるだけで、骨盤だけでなく全身の循環が整い、整った状態を維持できる身体になります。

平井塾の哲学では、骨盤ケアを治療ではなく日常習慣として捉えます。
FJAで構造を整え、姿勢循環整体で流れを取り戻したあとは、
「動く・呼吸する・眠る」その一つひとつが整える行為に変わっていくのです。

施術の先にあるのは、整う暮らし。
それが、平井塾が伝えたい骨盤ケアの本質です。

まとめ

骨盤矯正の必要性の再確認

骨盤は、私たちの身体の「土台」であり、「軸」です。
このわずかな傾きやねじれが、腰痛・肩こり・坐骨神経痛・冷え・便秘など、さまざまな不調を引き起こします。

しかし、骨盤の歪みは悪い姿勢一時的な癖だけで起こるわけではありません。
長時間の座り姿勢、運動不足、ストレス、そして「動かない生活」
これらが積み重なって、少しずつ骨盤の構造を歪めていくのです。

つまり、骨盤矯正とは形を戻す作業ではなく、身体の構造と流れを整える行為
その本質を理解することが、真の意味での「矯正」につながります。

健康な身体作りの重要性

骨盤が整うと、身体は自然にバランスを取り戻し、呼吸が深くなり、血流がスムーズになります。
これは、単に痛みが減るというだけではなく、「回復しやすい身体」になるということです。

例えば

  • 長時間のデスクワークでも疲れにくくなる
  • 姿勢を無理に意識しなくても美しく保てる
  • 睡眠や呼吸が深くなり、朝の目覚めが軽い

これは治ったのではなく、身体が自ら整える力を取り戻した状態。
平井塾ではこれを「構造思考のゴール」と呼びます。

FJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)で細部の動きを整え、
姿勢循環整体で全身の流れを回復させることで、
施術後も整った状態を維持できる身体を育てることが可能になります。

FJA×姿勢循環整体で歪まない身体を育てる

平井塾が伝えるFJAと姿勢循環整体は、単なる矯正法やテクニックではなく、身体を観察し、理解し、自然に整えるための哲学です。

FJAは、細部の動きを聴くことで構造のエラーを修正し、姿勢循環整体は、全身の血流・リンパ・神経の流れを回復させます。

この2つを組み合わせることで、施術を受けた瞬間だけでなく、その後の日常でも「自然に姿勢が整う」「疲れにくい」「気持ちが軽くなる」そんな身体が育っていきます。

骨盤を整えるとは、を変えることではなく、生き方を変えること。

身体が変わると、姿勢が変わり、呼吸が変わり、心まで整っていきます。
それが、平井塾が目指す「構造思考の施術」と「安心できる身体づくり」です。

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【投稿者情報】平井 大樹

平井塾 代表。みゅう整骨院 代表。柔道整復師・スポーツトレーナー。

「患者様の人生に、健康の安心を。」

私は、これまで20年間、延べ10万人を超える患者様と向き合ってきました。その中で最も大切にしてきたのは、「痛みを取る」ことだけではなく、「患者様が心から安心して過ごせる毎日をサポートする」ことです。

  • 長期にわたる信頼:私は、5年以上通われる方が211名。その中で10年以上通われる方も93名いらっしゃいます。これは、一時的な改善ではなく、患者様が私に一生の健康を任せてくださっている証です。
  • 根本的なアプローチ:FJA(ファシアティックジョイントアプローチ)という独自の手技で、痛みの箇所だけでなく、その根本原因である身体全体の歪みや動きの不調にアプローチします。
  • 予約が取れない理由:広告を一切使わず、患者様のご紹介だけで新規予約は5年以上待ちの状態です。現在、お取りする予定はありません。

このコラムが、あなたの不調を改善し、より豊かな毎日を送るための一歩となれば幸いです。

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