整骨院経営で多くの院長が陥る落とし穴とは

整骨院を経営していると、必ず一度は耳にする言葉があります。
「先生、経営者にならないとダメですよ」
院長としてのあなたも、一度はこのアドバイスを受けたことがあるのではないでしょうか。
実際に、多くの治療家が店舗を増やし、現場をスタッフに任せ、自分は経営に専念するというスタイルを取っています。
確かに、整骨院を事業として伸ばすために「経営を学ぶ」ことは大切です。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
整骨院店舗拡大や数字を追いかけても満たされない理由
私自身、かつては「経営者として成功しなければ」という思い込みに囚われ、分院展開を進めた時期がありました。
会議を開き、スタッフを管理し、売上目標を追いかける。数字は確かに伸び、店舗数も増えました。
ところが、心の奥にはどこか虚しさが広がっていったのです。
なぜでしょうか。
それは「治療家としての喜び」が減ってしまったからです。
患者さんの「先生、楽になりました!」という声を聞く時間が減り、手技の成長を感じる瞬間も少なくなっていきました。
数字は上がっているのに、心は満たされない ― これは多くの院長が経験する落とし穴です。
この虚しさの正体については、詳しくこちらで解説しています → 整骨院経営の哲学|治療家の原点を忘れたときに広がる虚しさとその解決法
なぜ治療家なのに「経営者になれ」と言われるのか?
業界には「治療家として現場に立ち続けるのは非効率」という考え方があります。
確かに、院長がすべての患者さんを診るのは限界がありますし、スタッフに任せることで拡大も可能です。
しかし、それが院長自身にとって幸せかどうかは別問題です。
治療家としての原点を忘れ、経営数字ばかりを追いかけると、スタッフとの関係も、患者さんとのつながりも希薄になります。
「本当に自分はこの道でよかったのか?」と悩む院長が後を絶たないのは、この構造に原因があります。
整体師が現場を離れることで失われる治療家の喜び
治療家にとって最大の喜びは何か?
それは、患者さんが変化し、笑顔になり、感謝の言葉をくれる瞬間ではないでしょうか。
しかし、経営に専念すると、その喜びを直接味わう機会が減ります。
スタッフの愚痴を聞く時間が増え、数字の管理に追われ、会議に時間を取られる。
経営者としては成長しているのに、治療家としては成長が止まる ―
このギャップが院長を疲弊させてしまうのです。
治療家の軸を忘れたときに起こること

整骨院を伸ばすために「経営」を優先した結果、多くの院長が直面するのは、治療家の軸を見失ったことによる弊害です。
- 患者さんとの距離が広がる
- スタッフの不満が増える
- 経営が安定しても心は満たされない
スタッフ教育に悩む院長は、ぜひこちらも参考にしてください → 整骨院スタッフ教育の本質|数字管理より院長の臨床姿勢がチームを変える
患者さんからの感謝の声が減る
経営にシフトし現場に立つ時間を減らすと、患者さんと直接関わる時間が少なくなります。
結果として、「先生に診てもらいたい」という声が減り、患者さんとの信頼関係が薄れていきます。
数字の上ではスタッフが施術して売上は出ているかもしれません。
しかし院長自身が「やりがい」を感じられない状態になってしまうのです。
スタッフの不満や離職が増える構造
さらに厄介なのはスタッフとの関係です。
- 「給与が低い」
- 「あの人はルールを守らない」
- 「先生の前だけちゃんとしていればいい」
こうした声や態度に、心をすり減らしてしまった経験はないでしょうか?
実はこれは、経営を学ぶこと自体が悪いのではなく、治療家の喜びを軸にしないまま経営に走った結果なのです。
スタッフは、院長が本当に楽しそうに臨床に向き合う姿にこそ共感します。
その軸を失ったとき、チームは崩れやすくなるのです。
数字は伸びても心が満たされない悪循環
数字が伸びても楽しくない。
店舗が増えても達成感がない。
この悪循環に陥ると、経営者としての自分と、治療家としての自分の間に大きな乖離が生まれます。
やがて「もう治療をやりたくない」「スタッフと関わるのが苦痛だ」という思いが強まり、燃え尽きに近い状態になってしまうのです。
この悪循環から抜け出すためのキーワードが、治療家の軸なのです。
整骨院を本当に伸ばすのは治療家としての喜び

整骨院経営を成功に導くのは、店舗数でも売上でもありません。
本質は、「治療家自身が臨床を楽しめているかどうか」 にあります。
施術の手応え、患者さんの笑顔。
これらを日々感じることが、最も強い原動力になります。
臨床を楽しみ続けるための具体的な技術習得法はこちら → 整体技術の上達に限界を感じた院長へ|再現性ある学びで臨床力を強化する方法
施術の手応えこそが最大のモチベーション
長時間の施術後、疲れているはずなのに「今日も充実していたな」と感じることはありませんか?
それこそが治療家としての原点であり、最大のモチベーションです。
ある先生がセミナー後にこう語ってくれました。
「10:00から20:30まで、休憩わずか10分。でも施術が楽しくて仕方なかった。やっぱり手技って面白いですね。」
この感覚を持てるかどうかが、経営の安定と院の成長を大きく左右します。
治療家の喜びがスタッフを動かす
院長が楽しそうに施術に取り組む姿は、スタッフにとって大きな刺激になります。
「先生のようになりたい」「自分も技術を磨きたい」そう思える環境が整うのです。
逆に、院長が数字やマネジメントにばかり意識を向けていると、スタッフもまた「給与」や「ルール」といった外的な要因にしか目が向かなくなります。
組織は院長の在り方を映し出す鏡なのです。
患者が自然に集まる整骨院の共通点
患者さんは「この院長に診てもらいたい」と思える場所に集まります。
治療家の喜びが院全体の空気ににじみ出ると、口コミも自然と広がり、リピート率も安定します。
つまり、整骨院を伸ばす最もシンプルな戦略は、院長自身が治療家として輝いていることなのです。
治療家の軸を経営に活かす方法

では具体的に、どうすれば治療家の軸を保ちながら経営もうまくいくのでしょうか。
経営は治療家の延長線上にある
経営と臨床を対立させて考える必要はありません。
経営とは本来、「治療家の喜びを持続可能にする仕組み」です。
患者さんに貢献し続けるために経営を学ぶ。
スタッフに成長の場を与えるために仕組みを整える。
この視点を忘れなければ、経営は治療家の喜びをさらに拡張してくれる存在になります。
現場を離れずに数字を伸ばす考え方
「現場に立つ=数字が伸びない」というのは誤解です。
むしろ、院長が現場で輝いている方が、リピート率・紹介数は伸び、経営は安定します。
例えば、問診力を磨いて信頼関係を深める。
施術のルーティンを確立して再現性を高める。
これらはすべて数字に直結する「経営戦略」でもあるのです。
院長自身が楽しむことが経営戦略になる
結局のところ、院長が治療を楽しむ姿に勝るマネジメントはありません。
「やらされている」ではなく「やりたいからやっている」。
その姿勢が、スタッフ・患者・経営すべてに波及していくのです。
平井塾が提唱する治療家の軸を育てる手技

平井塾では、「治療家としての喜びを軸に経営を伸ばす」ことを実現するための教育体系を整えています。
FJAで処置型から構造思考型へ
FJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)は、ただ痛みを取るための手技ではありません。
「なぜその痛みが生じたのか」を見抜く臨床思考を育てます。
処置型の施術から脱却し、構造的なエラーを読み解く力を持つことで、臨床の喜びは何倍にも広がります。
姿勢循環整体で技術と喜びをルーティン化
姿勢循環整体は、「身体は一つのユニットである」という哲学を形にした手技です。
全身を整え、循環を改善することで、施術の成果を安定的に出せるようになります。
また、ルーティン化された手技を持つことで「毎回の施術が確実に成長につながる」という実感を得やすくなります。
これは治療家にとって大きな喜びであり、経営の安定にも直結します。
臨床力を磨くことで経営も安定する
治療家の軸を磨く教育体系を持つと、経営は自然と安定していきます。
なぜなら、患者さんの満足度が高まり、スタッフの成長意欲も高まるからです。
結局のところ、治療家の成長がそのまま整骨院の成長になるのです。
まとめ|店舗拡大より大切なのは治療家の軸

整骨院を伸ばすために経営は欠かせません。
しかし、数字や店舗拡大にばかり意識を向けてしまうと、心は満たされず、スタッフや患者さんとの関係も希薄になってしまいます。
経営を学ぶ前に臨床を楽しむ
経営を学ぶこと自体は悪くありません。
ただし、それは「治療家としての喜びを軸にした延長」でなければならないのです。
治療家の喜びが整骨院を伸ばす最大の戦略
患者さんの笑顔、施術の手応え、技術が磨かれる充実感。
この喜びを大切にすることこそが、最も確実で持続的な経営戦略です。
院長自身が輝くことがスタッフと患者を幸せにする
治療家としての軸を持ち、臨床を楽しむ院長の姿は、スタッフの共感を呼び、患者さんの信頼を集めます。
そしてその結果、整骨院は自然と輝きを増していきます。
あなたも「治療家としての軸」を持ち続けてください。
それが、整骨院経営において最も大切な戦略であり、長く愛される院をつくる土台となります。
治療家の軸を取り戻す学びをあなたへ

もし今、あなたが
- 経営に追われて臨床の喜びを見失いかけている
- スタッフとの関係や数字の管理に疲れている
- 「治療家としての原点」にもう一度立ち戻りたい
と感じているなら、平井塾の学びはきっと大きな力になります。
平井塾では、FJAや姿勢循環整体を通じて、治療家としての軸を育てる臨床教育を行っています。
これは単なる技術セミナーではなく、
- 臨床力を高める「思考のフレーム」
- 技術を磨き続けられる「ルーティンの仕組み」
- 経営を安定させる「在り方の哲学」
をセットで学べる場です。
実際に導入いただいた先生からは、
「臨床が楽しくなり、スタッフとの関係も良くなった」
「売上よりも施術の喜びを大事にした結果、数字も安定した」
といった声を数多くいただいています。
あなたも、 「治療家としての軸」 を一緒に磨きませんか?
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投稿者情報【平井 大樹】

株式会社美絆 代表取締役。みゅう整骨院 代表。整体教育機関ゴッドハンドへの道「平井塾」代表。柔道整復師・スポーツトレーナー。
「治療家を職業から誇りへ」を信念に、紹介だけで予約が埋まる「本物の治療家」を育てる平井塾を主宰。施術歴20年、延べ10万人以上を施術し、リピート率98.5%、新規予約は5年待ちという圧倒的な実績を持つ。
【平井塾が生まれた理由】
高校卒業後、スポーツトレーナーの世界で「本当に人の役に立ちたい」という強い想いを胸に治療家の道へ。雇われ院長時代には、1日来院数255名という日本一の実績を達成。しかし、数字を追い求める中で、本当にやりたかったこととのギャップに悩み、独立後は広告を一切使わない「紹介のみ」の治療院を確立しました。
その経験から、「技術だけでなく、患者さんの心に寄り添う在り方こそが、真のゴッドハンドへの道である」と確信。2020年から始めたセミナー事業も、広告を一切使わず、口コミだけで年間91回開催、延べ770名もの治療家が集まる場所となりました。
【平井大樹の圧倒的な実績】
私が提唱する「在り方で信頼され、結果で指名される」という哲学は、以下の圧倒的な実績によって証明できる確信しています。
- 長期継続患者数:私が施術している毎月211人の患者様のうち、5年以上継続が211名,そのうち10年以上が93名。これは、一般的な治療院が測る「初回リピート率」をはるかに超える、揺るぎない信頼の証です。当社独自の2年継続率では49.7%という圧倒的な実績を数字で証明しています。
- 独自のメソッド:FJA(ファシアティックジョイントアプローチ)や姿勢循環整体など、単なる技術ではなく、痛みの根本原因を「動きの連鎖」から見抜く独自の臨床思考モデルを確立しています。
- 全国規模の実績:東京、大阪、横浜、宮崎など全国9社の整骨院グループで社員研修を担当。組織の課題に客観的に向き合い、治療家として誇りを持って働ける社員を育成しています。
- 安定した組織運営:私が経営する院のスタッフ定着率は平均7年以上。これは、理念と実践が一致したマネジメントの証明です。
「在り方で信頼され、結果で指名される」
平井塾は、技術と人間性の両輪を磨き、治療家として誇りを持って生きる仲間を増やすことを目標としています。このブログが、あなたの治療家人生を変える一歩となれば幸いです。