整骨院院長に多い「完璧主義」がスタッフマネジメントを難しくする

なぜ整骨院院長は完璧主義になりやすいのか?
整骨院を経営していると、どうしても 「すべてを完璧にこなさなければならない」 という思考に陥りがちです。
施術、受付、集客、経営管理――小規模院では院長がすべてを背負います。
さらに臨床現場では、患者さんから「先生に任せれば安心」と信頼されることが多いため、
「ミスは許されない」という思考が強化されやすい。
結果として、スタッフ教育においても 「一つ残らず完璧に教えなければ」 と考えてしまいます。
完璧主義とマネジメント不全の関係性
完璧主義は一見すると真面目さや責任感の表れですが、スタッフ教育においては逆効果になります。
なぜなら、教育は「伝えること」ではなく「伝わること」が目的だからです。
院長の「全部教えたい」という姿勢が、かえってスタッフの学習意欲を削いでしまうのです。
「全部教えようとする教育」がスタッフを潰す3つの理由

情報過多が学習効率を下げる
完璧主義の院長ほど、説明が長くなります。
スタッフに一度に大量の情報を与えてしまうことで、理解が浅くなり、結局「何もできない」という結果に。
教育はインプット量よりも、アウトプットの成功体験の積み重ねが重要 です。
スタッフが委縮し主体性を失う
「ここも違う」「まだまだダメだ」と修正ばかりしてしまう院長の下では、スタッフは萎縮します。
挑戦する意欲を失い、「どうせ怒られるからやらないでおこう」と受け身になります。
失敗を恐れる文化が根付く
完璧を求められると、スタッフは失敗を避けるようになります。
しかし臨床において成長するためには、失敗の中から学ぶことが不可欠。
「ミスをしても大丈夫」という環境がなければ、スタッフは伸びません。
完璧主義院長が陥るスタッフ教育の失敗例

「最初から最後まで完璧に覚えろ」と指導するケース
初日から細部にわたり手技の全工程を詰め込もうとすると、スタッフは消化不良になります。
「やる気がない」と誤解されることもありますが、実際は 情報が多すぎて脳が処理できない のです。
細かい技術にこだわりすぎて臨床力が育たないケース
「角度は◯度で」「この力加減で」など細部に固執するあまり、
スタッフが本来学ぶべき 全体像や臨床思考 が育たなくなります。
できないスタッフを見て苛立ちが募るケース
「何度言ってもできない」という状況に直面すると、院長は苛立ちます。
その苛立ちが表情や言葉に出て、さらに教育が崩壊していきます。
教育は「優先順位」で変わる―効果的なスタッフマネジメント法

「まずこれだけ覚えればいい」を決める重要性
スタッフ教育の鍵は、 「最初に何を覚えてほしいか」 を明確にすることです。
たとえば新しいスタッフには、まず「患者さんに安心感を与える挨拶」から始めても良い。
施術手技であれば、最初は 姿勢を整える一つの触れ方 に絞る。完璧さよりも「小さな成功体験」を優先するのです。
成長ステージに応じた段階的教育
新人スタッフと経験者では、必要な教育は全く異なります。
段階ごとにゴールを設定し、 「できることが増える喜び」 を積み重ねていくことが離職防止にもつながります。
院全体のゴールから逆算した指導設計
教育は「何を教えたいか」ではなく、「院全体の成長にどうつながるか」から設計すべきです。
リピート率を上げたいなら、まずは問診スキルを優先する。
施術技術を伸ばしたいなら、基礎となる観察眼を育てる。
整骨院スタッフ教育を成功させるマネジメント3原則

シンプルに伝える
「まずはこれだけ」で十分。
シンプルに伝えることで、スタッフは理解しやすく、行動に移しやすくなります。
成功体験を積ませる
「できた!」という感覚が自信につながり、学習意欲を高めます。
小さな成功を意図的に作り出すことがマネジメントの役割です。
スタッフの主体性を引き出す
問いかけを増やし、「どう思う?」「どう感じた?」と聞く。
受け身ではなく、自ら考える力を育てることが教育のゴールです。
平井塾が提案する「優先順位のつけ方」

FJAに学ぶ観察と調整の教育思考
FJA(ファシアティック・ジョイント・アプローチ)は、構造の細部を観察し、必要な部分だけを調整する手技です。
これは教育にも通じます。
「全部伝える」のではなく、「必要な部分を観察して調整する」ことが大切です。
姿勢循環整体が示す「全体を診る」優先順位
姿勢循環整体の哲学は「身体は一つのユニット」。
教育でも「全体を捉えた上で、どこを優先するか」を判断する視点が不可欠です。
在り方を整えることで教育がシンプルになる
院長自身が焦らず余裕を持ち、「完璧ではなく成長を見守る」という在り方を持つことで、教育は自然とシンプルになります。
よくある質問

Q. スタッフに全部教えたいのですが、やはり分けた方が良いですか?
A. はい。一度に詰め込むと理解度が下がります。まずは「一つの成功体験」を与えることが大切です。
Q. 院長の完璧主義を手放すコツはありますか?
A. 自分の価値を「スタッフが完璧にできること」ではなく「成長を支える姿勢」に置き換えると楽になります。
Q. 整骨院スタッフ教育で優先順位を決める基準は?
A. 院全体の目標(リピート率改善・施術力向上など)から逆算して決めるのが効果的です。
まとめ|完璧主義を手放し、優先順位でスタッフを育てる院長へ

- 院長の完璧主義は、スタッフの成長を妨げる
- 「全部教える」教育は逆効果になりやすい
- 成功の鍵は「優先順位を決め、シンプルに伝える」こと
- 小さな成功体験と主体性の育成が、離職防止と院の成長につながる
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投稿者情報【平井 大樹】

株式会社美絆 代表取締役。みゅう整骨院 代表。整体教育機関ゴッドハンドへの道「平井塾」代表。柔道整復師・スポーツトレーナー。
「治療家を職業から誇りへ」を信念に、紹介だけで予約が埋まる「本物の治療家」を育てる平井塾を主宰。施術歴20年、延べ10万人以上を施術し、リピート率98.5%、新規予約は5年待ちという圧倒的な実績を持つ。
【平井塾が生まれた理由】
高校卒業後、スポーツトレーナーの世界で「本当に人の役に立ちたい」という強い想いを胸に治療家の道へ。雇われ院長時代には、1日来院数255名という日本一の実績を達成。しかし、数字を追い求める中で、本当にやりたかったこととのギャップに悩み、独立後は広告を一切使わない「紹介のみ」の治療院を確立しました。
その経験から、「技術だけでなく、患者さんの心に寄り添う在り方こそが、真のゴッドハンドへの道である」と確信。2020年から始めたセミナー事業も、広告を一切使わず、口コミだけで年間91回開催、延べ770名もの治療家が集まる場所となりました。
【平井大樹の圧倒的な実績】
私が提唱する「在り方で信頼され、結果で指名される」という哲学は、以下の圧倒的な実績によって証明できる確信しています。
- 長期継続患者数:私が施術している毎月211人の患者様のうち、5年以上継続が211名,そのうち10年以上が93名。これは、一般的な治療院が測る「初回リピート率」をはるかに超える、揺るぎない信頼の証です。当社独自の2年継続率では49.7%という圧倒的な実績を数字で証明しています。
- 独自のメソッド:FJA(ファシアティックジョイントアプローチ)や姿勢循環整体など、単なる技術ではなく、痛みの根本原因を「動きの連鎖」から見抜く独自の臨床思考モデルを確立しています。
- 全国規模の実績:東京、大阪、横浜、宮崎など全国9社の整骨院グループで社員研修を担当。組織の課題に客観的に向き合い、治療家として誇りを持って働ける社員を育成しています。
- 安定した組織運営:私が経営する院のスタッフ定着率は平均7年以上。これは、理念と実践が一致したマネジメントの証明です。
「在り方で信頼され、結果で指名される」
平井塾は、技術と人間性の両輪を磨き、治療家として誇りを持って生きる仲間を増やすことを目標としています。このブログが、あなたの治療家人生を変える一歩となれば幸いです。